俺様天使とのキスまであと指輪一個分。
いつの間にか止んだ雨のせいで、そのセリフは、よりクリアに蒼の耳に届いてしまった。
風が吹いて草がざわめくこともない。
ようやくの日差しに鳥たちが羽ばたく音もない。
ごまかすものが一つもないのは、きっと、自然が蒼に逆襲しようとしているに違いなかった。
「どうして………」
「膝を壊してさ。前からおかしかったんだけど、もう結構ヤバイみたい」
「そんな…でも…サッカー推薦が決まったって……」
冷静に話す啓太よりも、蒼の声の震えが止まらない。