俺様天使とのキスまであと指輪一個分。
「あれ、断った。しゃーない。でも俺、スポーツは好きだからさ、体育教師目指そうかなって。だから、進学校目指す。ガラでもねーか?」


「そんな……すごく…」


蒼は、ふと気を抜くと流れてしまうのもぐっと堪えた。


もう必要のない傘をさしたまま、無駄に柄をぐるぐる回す。




なんて声をかけたらいい?

どうやって励ませばいい?



焦れば焦るほど、手持ち無沙汰に柄の回転が早くなる。



「もう雨やんだよ?」


啓太の指摘に、やむなく傘をたたんだ蒼には、もう頼るものすらなくなっていた。


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