俺様天使とのキスまであと指輪一個分。

「病院に連れってたらただの風邪だって…でもご飯も食べないし」

蒼ママは、娘の初めての姿に青ざめていた。

「あおの好きなお菓子、買ってきてみたんで…」

美津子と千鶴は、スナック菓子でパンパンに詰まったコンビニ袋を見せた。

「ありがとう。さ、あがって」

二階の蒼の部屋へと、階段をのぼる。

一階と二階の堺になって、漂う空気が違うことに二人は気がついた。


「何だか…寒い」

「クーラー効きすぎてるわけじゃないよね?」


息苦しいほど冷たい空気が、階段の先にある蒼の部屋から漏れていた。



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