俺様天使とのキスまであと指輪一個分。

「ごめん…私もう…駄目かも」

先にギブアップの声を上げたのは、一番小柄な美津子だった。

しゃがみこんで顔を俯かせたまま肩で息だけしていた。


「私にゃんてさ、ミュールで来たもんだから足傷だらけにゃ」


綺麗に塗られたブルーのペディキュアがちらりと見える今ドキのミュール。

おかげで指先は泥だらけ、血豆だらけで悲惨なものだ。


「まさか別の世界に行くことになるなんて考えてないもんね」


軽快に笑う蒼の服装は、寝床から起きたままのTシャツに半パン姿。


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