俺様天使とのキスまであと指輪一個分。
「…………高校のこと……」


まだ顔を伏せたままの蒼がやっと声を出した。


「高校?」

「だってだってみんな高校のことばっかり……今一緒にいることのが大事……みんなと…離れたくない……」

蒼の声は段々擦れていって尻切れに消えていく。

「時間が止まればいいのに…」

静まり返った三人にほんの少しだけ、ひ弱な街路樹が日陰を差し出した。


そんな頼りない木々たちは、昔のあの頃なら、もっと立派な大木に見えていたはずなのに――


………

…ぷっ…

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