俺様天使とのキスまであと指輪一個分。

蒼の言葉で、リョウをふと思い出した。



(そうだ…私がやらなくちゃ…)



不安でいっぱいだった美津子の顔が晴れ渡り、ペンを力強く握った。

震えていた美津子の手が徐々に、絵を描くために滑らかに動いた。


(こ…この絵は…)


フレンが声を上げた。


少しずつ出来上がるその絵は、美津子の得意とする少女漫画風の美少年だった。


「このゴリラとは全然別人にゃん」

我慢ならずに叫ぼうとする千鶴の口を蒼が無理やり押さえつけた。


(しっ…あれでいいの)

(???)


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