俺様天使とのキスまであと指輪一個分。
美津子は一心不乱にペンを動かす。

門番もモデルさながらにポーズをとるが、そんなのはどうでもよかった。


「で、できました」


美津子がペンを置いてひと呼吸つくと、門番は手から紙を奪った。


「おおお! こっ…これはっ!!」


門番は絵を見るなり、塔を揺らすような雄叫びを上げた。

(やっぱりあの絵じゃ…)

千鶴が額に手をあてて顔を反らせた。


「………すっ……!」


門番が声を荒らげようとしている。

千鶴は諦めの目を閉じた。



「素晴らしい!!!!」


あまりの喜びに、門番は美津子に両手で握手した。

千鶴は唖然として目を丸くした。
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