俺様天使とのキスまであと指輪一個分。
薄暗く静か。煌びやかな王宮の想像を見事に打ち崩した。


「誰も…いないの?」

「入口は門番が警備しているから手薄なのだ。王の間に近づくにつれ警備は厳しい」

「じゃあどうすれば……?」

「こっちだ」


フレンは案内された道順とは逆の方向に走り出した。

三人がついていくと、沢山の花が咲き誇る花園にたどり着いた。


「綺麗……」


塔と城壁の間にほんの少し、隠れるように花園が出来ていたが、久しぶりに見る鮮やかな世界に自然と心が奪われた。

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