俺様天使とのキスまであと指輪一個分。
「でもその研究を復活させれば、もしかしたらアレオンは…」

「そうよ! そのことをちゃんと王様に説明して――」

「それが出来ればいいんだけどな……」


フレンが投げやりに答えてから、城内が妙に騒がしいことに気がついた。


「ちっ…もう気づかれたか。先を急ぐぞ」


花園の間を抜けていくと、畑の間に錆び付いた小さな扉がひっそりと置かれてあった。


「ここは王の間へと続く隠し通路だ。知っているのは城内でも極わずか」


ギリギリとノブが音を立てた。

扉を開けると、真っ暗な洞窟の先に見渡す限り細長く階段が続いていた。



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