俺様天使とのキスまであと指輪一個分。
「……?」
先ほどからの王の様子がどうもおかしい。
もっと近くにいけば何か分かるはずと、フレンは一歩王のもとへと歩み寄った。
そのとき、後ろに控えていた護衛がフレンの腕を掴んだ。
「離せっ!」
「グレイス様は国の反逆者として裁かれる身なのです。王に近づくことは許されませんわ」
王女が唸るような低い声でフレンに告げた。
「せめて…私は…父上と話がしたいだけだ…父上! 父上っ!」
「ええぃ、うるさい! この者も牢にぶちこんでおけ!」
王女の雄叫びが合図になり、フレンは掴まれた腕をぐいと王の間の外へ引っ張られた。