俺様天使とのキスまであと指輪一個分。
「僕…あまり字は読めないけど…」

「紙は高級なのよ。貰えるものは貰っておきましょう」


木の箱にぎっしり詰め込まれた古本を適当に何冊か手に取った。


「さすが…お目が高いのう…」


じいさんが不気味に微笑んだが、そのときは何を意味するのかが分からなかった。


家に帰り、試しに開いてみるも、やはり理解できるはずもない。



しかし、何故か一冊だけ。

字の読めないはずの親子にも不思議と内容が頭に入る本があった。


「まるで心の中に絵が浮かんでくる…不思議な本だわ」

「母さん…何だか怖いよ…悪魔の本だよ…もう開くのはよそう」
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