俺様天使とのキスまであと指輪一個分。
リョウは怖くてそれ以上本を開くことはなかった。
しかし母は……
「黒魔術の本だ…」
フレンが膝に手をあて、ようやく立ち上がった。
「噂では聞いたことがある…人の心を操り、不幸を招く悪魔の書。まさか本当に存在するなんて…」
「悪魔の書…うふふ…そうだったのね…。でもあの本のおかげで、貧しい生活からおさらばできた…この魔力のおかげで…何もかも計画通りに進んでいったもの。城に潜入し、まずは王妃を、その次にはアレオン王を…」
「でももうその呪いの力も薄まっているんだろ?」