俺様天使とのキスまであと指輪一個分。
「リョウ…くん」

朦朧とする意識の中で、美津子はリョウの名を呼んだ。

するとリョウの視線が上下して、美津子に何やら合図を送った。


(え……?)


美津子がその合図に気がついて、できるだけ首を縦に振って了解したことを伝えると、リョウは足元に捨てた剣を瞬時に拾い、王女めがけて振り上げた。

美津子は合図の通り、頭を低くしてちょうど剣先を避けた。


「やった…!」

美津子が顔を上げると、リョウは悲しげな表情を浮かべて凍りついていた。

剣のツバにまで伝わった血が、リョウの足元に雫となってポタポタ落ちた。


「リョ…ウ…」


王女の胸には剣が突き刺さっていた。



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