俺様天使とのキスまであと指輪一個分。
王女は涙を流してリョウの名を何度も呼んでいる。


「母さん…母さん…」


母の声に答えるように、リョウも何度も母を呼ぶ。

力尽きたリョウの剣先が離れ、傷口から吹き出す大量の血を左手で押さえながら、王女はゆっくり屋上の淵に歩み寄った。


「…もう…私は終わりだわ…」

淵に足をかけると、王女は自らバランスを崩して屋上から飛び降りた。


「母さあああーん!!!!」


「だめええええっ!」


蒼が勢いよく駆け込み、王女を追って屋上から飛び降りた。


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