俺様天使とのキスまであと指輪一個分。
物凄い風が、蒼と王女の周りに吹き荒れる。

浮き上がるというより、吹き飛ばされるような形で、二人は元いた屋上に押し戻された。


「蒼っ!」

王女を抱きかかえる蒼に、美津子と千鶴が駆け寄った。

「もう! 無茶して!」

千鶴が蒼に抱きついた。

蒼も千鶴の背中を優しくぽんぽんと叩く。


「はあ…はあ…」

王女は横たわったまま肩で息をしている。

「フレン…何とか助けられないかな…」

フレンは何も返事をせず、ただ虫の息の王女を見つめた。

「ねえ! ねえ、フレンったら!」

「…王女は…俺の母を…殺した……だから…」

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