俺様天使とのキスまであと指輪一個分。
「王妃が…お前の母が死んだのは…誰のせいでもない…元々持病を抱えていた…」

「…えっ…」

「その持病でもう体の中はボロボロだった…せめて生きている間にと、ずっとアレオンを救うための研究に精を出してくれていた」

「父上は母の研究のことを知っていたのですか?」

「もちろん。彼女が亡くなり、今後は重圧政治をやめアレオンのため研究施設を拡大しようとしていた矢先だった…隙をつかれて呪いに支配されてしまったのは…」

アレオン王は横たわる王女の手を優しくとった。

「私がもう少し早く決断をしていれば…このような惨事にまで及ばなかった…権力を奪われるのが恐ろしくて躊躇していた…私の心の貧しさから起こったことなのだ…」

「王様……」

王女はアレオン王の言葉に涙を流した。


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