俺様天使とのキスまであと指輪一個分。
「すご。本物?」
様々な角度で見るたび、光が反射して一層きらめく。
ニセモノのガラス玉でこの輝きが出せるはずがない。
『寂しくてすねちゃってたにゃ!?』
意地悪に口を尖らせた千鶴の顔が、赤い宝石の奥に見えた気がした。
「ちづはいつだって私を子供扱いするんだから! 私だってね、指輪くらいすりゃ、もっと大人の女に――」
はめる指を考えて、ふと、シュートを決めた啓太の顔が浮かんだ。
「けーくん…」
昔のように彼を呼んだ唇が、きゅんと熱くなった。
法子が「キス」の話なんてしたからだ。