俺様天使とのキスまであと指輪一個分。
左手を濃い青の空にかざす。
日に焼けてゴツゴツした手が、心なしか優しく見えた。
「私だっていつか…こんな風に結婚指輪……その相手がけーくんだったら…なんちって」
妄想でハイテンションになって一人クネクネと体をよじらす蒼。
しかし、さすがに他人の指輪を勝手にはめることの後ろめたさも芽生えた。
それにだんだん宝石が血のように不気味な色に見えて、少し気味が悪い。
「よ、よし。もう、満足」
指輪に手をかけた瞬間、
「いたっ!!」
静電気よりももっとはっきり、ビリっと走る痛みを感じた。