俺様天使とのキスまであと指輪一個分。

顔を直視できないのは、恥ずかしさと、今朝の出来事が原因。


「あ、俺もう休憩終わるから…」


昨日までなら、こんなに嬉しいことはないのに。


「心配してくれて…ありがと…けーくん…」


やっと絞り出した声も蚊が飛んだほどのもので。



後ろでグラウンドに戻る啓太の足音、サッカーシューズの独特の砂を噛む音がした。

そのあとまたいつものようにファンの子の声援が始まった。


(こんな態度して……最低)


もうこれ以上学校にいるのも辛くて、蒼は息をするのも忘れて校門へと走った。


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