俺様天使とのキスまであと指輪一個分。
「あー…携帯欲しい…」
なんてきっと言わない子だと思われているんだな、と美津子は半分諦めていた。
部屋を囲んでそびえるように立つ本棚たち。
それにぎっしり並んだ本。小さな字ばかりの本から漫画本まで種類は豊富だ。
その中から美津子は、慣れた手つきで、古びた漫画本を手に取った。
「ルシフィール……」
漫画本を持つ手がプルプル震え、メガネが鋭く光った。
「ルシフィールさまぁぁぁぁぁ!!!!!」
突然絶叫して立ち上がり、興奮して足をドンドン踏み鳴らす。
漫画本を抱きしめるようにぎゅと胸に押し当てた。