俺様天使とのキスまであと指輪一個分。

千鶴


狭い本棚に無理やり本を押し込んだような。

そんな商店街の店並みの一角は夏休み中、中高生が入れ替わり店内を賑わしていた。


その店の自動ドアが開くたび、流行りの曲が通りに漏れる。


「マジでオーディション受ければいいのにい」


三人のうちの一人のギャルが呟く。


「にゃはは。無理無理ぃ。私なんて大したことないにゃ」


聞き覚えのある語尾のギャルが返事をした。

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