時の蕾 (短編)
第2章
高三になると同時にその子はクラスに帰って来た。


相変わらずの頭の良さそうな顔と、可愛いと言うよりは美人だった。


僕は17歳になっていた。

そして僕には別の彼女が出来ていた。


淋しさや同情なんかじゃなく、その時は彼女を好きだったから。


しばらく時間が経って留学から帰ってきたあの子とも、昔のように普通の会話も出来るようになってたし、彼女とも上手く行っていた。


僕は18歳になった。


高校生活も卒業まで残り一ヵ月。


僕は突然彼女に別れを告げた。


嫌いになったわけでもなく、彼女の事は好きだった。


なぜ…。


留学から帰って来たあの子に対する想いが彼女より強かったから…。


ごめん…。


僕は卒業式までに「告白」することを自分自信に言い聞かせた。


卒業式は高速でやってきた。


僕はやっぱり「告白」が出来なかった…。


と、言うより今度しなかった。


その子は遠い地方の大学に進学が決まり、僕は地元の企業に就職が決っていたし。


いや…。


ただの言い訳…?


本当は自分に自信がないだけ。


その子は頭も良くて美人でスタイルもいい。

けど…。僕は…。


普通…。


何事もなかったように卒業式もおわり…。


風の噂でその子は大学を卒業しそのまま地元の企業に就職したと聞いた…。


僕も地元の企業で普通に働き、それなりに恋愛もしていた…。


気付けば成人を過ぎていた…。


高校卒業から7年がたった…。


ある日…。


自宅に一通の郵便が届いていた…。


その内容は、高校のクラス会の案内だった…。
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