ママが女に戻る瞬間(とき)
ホームへ着くとすぐに電車がやってきた。

ドアが開き二人が乗りこむ。

あまりにも久しぶりの電車で明菜は立ち位置がしっくりこなかった。

「久しぶりに電車乗るよ」

「私も!」

菊枝は答えた。

「ラッシュに乗ると疲れちゃうよね」

「永田さんもそうなの?」

「疲れるよ」

「子供たちも疲れるって言う」

「若いのにね~」

「ほんと、ほんと。こっちのほうが疲れるよね」

「母は疲れないとでも思ってるのかと時々思うよ」

「同じく。パートして家事して毎日大変だよね」

「休みたいけれど、休めないしなぁ」

「今日はたくさん食べよう!」

「そうだね」

二人はたわいもない会話をしているうちに目的の駅に着いた。

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