ママが女に戻る瞬間(とき)
「ごちそうさま」

優がそう言ってお茶碗を片付ける。

「俺もごちそうさま」

大和は相変わらずお茶碗がそのままテーブルに置いてある。

「ねぇ、お茶碗くらい下げてよ」

「あぁ、忘れてた」

「自分の食べたのくらい下げてね」

「分かってるよ」

男の子なんてどこもこんなものなのだろうか?

幼いころは明菜の後ろに片時も離れずについて来た。

トイレに行くときだって一緒にいたのに

「大きくなったってことよね」

明菜はぼそっと呟きながら洗い物をはじめた。
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