ママが女に戻る瞬間(とき)
「あれっ?」

ソファに横になっていた大和が起き上がる。

「どうした?」

「なんか親父に似てる」

「どれ?」

明菜は火を止めてテレビに近づいた。

アナウンサーが行列に近づいて並んでいるお客に声かける。

『こちらは初めてですか?』

マイクを向けられたのは長崎恵美だった。

『いいえ』

恵美の目線が横に立っている男性…孝一に向けられた。

ちょっとはにかんだあとアナウンサーの方へ目線を戻し

『三回目です。おいしいので近くで仕事の時にきます』

『そうなんですか?おすすめはありますか?』

『やっぱり一番人気のチャーシュー麺です』

『皆さんこれを目当てにしているようですね』

< 46 / 81 >

この作品をシェア

pagetop