ママが女に戻る瞬間(とき)
「どうぞ」

一人ずつ小鉢に煮物、小皿にレンコンのきんぴらを出した。

「じゃあ乾杯するか」

孝一の声掛けに皆グラスを持ち上げる。

「プロジェクトの成功を祈って」

「乾杯!!」

グラスがぶつかる音がしたあとそれぞれ泡立つビールに口をつけた。

「うまい!」

孝一がグラスのビールを一気飲みした。

「おかわりいかがですか?」

さっとビールの瓶を顔の横に持っていきスマイルしながら恵美は孝一に聞く。

「あぁ、ありがとう」

孝一は恵美の前に手を伸ばした。

恵美は孝一の方へ少し寄りながらビールを注いだ。

二人の距離がわざとらしく感じてしまう。

割って入るわけにもいかないので明菜は

ただただ料理を作りながら遠目でチェックするのに徹した。

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