聴こえる
5.お昼のアナウンスは
ただいまの時間12時10分。私は毎日昼休みの放送を聞いていた。ただひたすらに藤木先輩が思ったことや昨日の出来事を喋りたおすって感じ。クラスの皆は聞いている様子はないし、騒がしいから私はいつも逃げるようにして中庭で放送を聞いていた。
「先輩」
「ん?」
部室には私と高木君と先輩の3人。高木君は放送するための機材の準備をしていて、私と先輩は放送する内容の紙を読んでいた。私が読むのは、最初だからと1文ですむらしい。そこはホッとした。
「どうした?」
先輩が私の顔をのぞきこむ。
「私、クラスに友達って呼べる人がいなくて…」
「そうだろうね」
「……(ムっ)」
「はい続けてー」
「……だから昼休みはご飯は一人で食べてたんです。けど、先輩が放送してるのを毎日聞いてたら、一人で食べてる気がしなかったんです。本当に楽しくて…先輩には感謝してます。だから、」
私は先輩の目をしっかりみてちゃんと言った。
「私、放送頑張ります!」
言えた。
先輩は私の言葉をきいて、嬉しそうに笑った。