聴こえる



「僕の放送が誰かに元気を与えられてたならそれは本当に嬉しいよ」



なんとなく、照れてしまう。ああ、私はこの先輩が苦手だけど好きだなぁ。



「部長、準備できました」



言葉数の少ない高木君が口を開く。背が高いからか、声は低く、聞いているととても安心する。



「よし!…あと2分で20分だな。美咲、そこに座って準備してくれ」



私は藤木先輩に誘導されるように、マイクの前のイスに座った。



ドキドキする。これを緊張と言うのかな。普通科のみと言ってもおよそ300人に向かって放送されるのだ。1人相手でもまともに喋れない私は、この状況を現実的に受け止めきれてないのかもしれない。ドキドキはするけど、不安ではない。


不意に、先輩の声がした。



「20分」



時計を見ると、長い針は4を指していた。


息をのんで、私は声を発した。






『12時20分になりました。お昼の放送を始めます。』





















5.お昼のアナウンスは





みなさん、聞いてくれましたか?


< 7 / 12 >

この作品をシェア

pagetop