聴こえる



7.私と、高木君と、先輩と





藤木先輩に、私がアナウンスの声をやっていることは伏せておこうと言われた。


なぜ?と問えば、後々面白いことになりそうだからとはぐらかされた。まぁ私もわざわざ言う必要はないと思っていたからいいのだけど。


さて放課後の今、私は部室にて先輩と高木君と机をあわせて座っている。


『今後の放送部について』


藤木先輩が黒板に突如書きはじめた。


「ちゅうもーく!」


私は訝しげに先輩を見た。高木君は寝ている。


「こら高木起きろバカヤロー」


先輩がチョークを投げるフリをすると、高木君は目をあけて言った。


「部員を増やす…」


「私も賛成です」


私はおずおずと高木君に賛同した。すると藤木先輩は、


「3人だしよくね」


あっけらかんと口にする。もちろん私はそれに意見した。


「藤木先輩、3人はまだまだ少ないですよ?」


「まぁ、廃部の危機は逃れたから!あのバカい長にも文句はもう言わせない」


バカい長って特進の生徒会長のことかな?知り合いみたいだけど、仲悪そう…。


「じゃあ、ちょっと考えたこと言ってもいいですか?」


「いいぞ」


私は日頃放送を聞いていて思ったことを口にした。


「まず、先輩が思ったことをつらつら昼休みに聞かされても興味のない人にとっては苦痛です」


「ゔ」


「提案なんですが、音楽のリクエストを募ったり悩み相談とか生徒と直に触れ合えるようなまるでラジオのような事を企画したらどうでしょうか」


「…なるほどな」



私が言い終わると高木君はうなずきながら同意した。少し嬉しい。



先輩はどうなのだろうと様子を伺うと彼は目を輝かせて身を乗り出した。



「いいねぇ!それ、気に入った!それなら、生徒の皆も耳を傾けるだろう!」



そう言う先輩はちょっと子供っぽかった。


















7.私と、高木君と、先輩と






いいトリオじゃないかな


そう思うのは私だけ?
< 9 / 12 >

この作品をシェア

pagetop