嘘とメールと夏休み
「なにもないよ」
「嘘。鮫島嘘ついてる」
「ついてない」
「ついてる。俺にはわかる」
目が、目が合わせられない。
「朝倉に、なにされた?」
「…言わない」
「俺は鮫島の、彼氏なんでしょ?」
「…っ」
もう嘘は、つけない。この人には、つきたくない。
「朝倉君のこと、殴らないなら教える。殴らないって約束するなら言う。」
「大丈夫、俺暴力嫌いだから」
椎名君の手が、私の手を強く、強く握る。
「私…、朝倉君にキス…」
もう、後にはひけない。