嘘とメールと夏休み


鮫島も足を止めて、俺の見ながら言った。


「私、もう、どうなったっていいやって思ったんです。このまま朝倉君と付き合って、椎名君のことは諦めよう、忘れようって」


「でも、本当の気持ちは違った。目をつぶった瞬間、頭の中に椎名君の顔が浮かび上がった」


「やっぱり椎名君じゃなきゃ、駄目なんだって思った」


鮫島の目はまっすぐ俺を向いていた。
そらしたら、駄目だ。

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