嘘とメールと夏休み
「可愛すぎだ、馬鹿」
鮫島のおでこをベシッと軽く叩く。
「あいた!ちょっと理不尽すぎます、今のは!」
「うっせえ、ちょっと黙ってろ」
「…はぁい」
ベシベシと叩き続ける。
「未遂なのはわかりました。いいです、大丈夫です」
「本当ですかっ?」
「うん。鮫島を信じる」
「あっあっ、ありがとうございます…」
だからさあ…、
「鮫島、キスしよ」
「え?」
聞き返した鮫島の口を軽く塞ぐ。
重なるだけの静かなキス。
ちゅっと小さな音は、遠くで打ち上げられた花火に掻き消された。