嘘とメールと夏休み
『私に恋をしてくれてありがとう』

夏休み明け Ryou's said



夏休みが終わり、みんなが愚だめいていた。
やべえよ宿題終わってねえ!という声や、ちょっと彼氏がさあ!という大きな声。
秘密にしている内容でも、この賑やかな教室だと、それなりの声の音量でなきゃ駄目ならしい。
駄々漏れですよ、君たち。


けれど君の声は、すぐに聞きとれた。


「鮫島、今日俺部活見に行くけど、どうする?」
「どうするって?」
「一緒に行く?」


野球部の中には、3年生は彼女ができたら見せに来る、というきまりがあるらしい。
夏休み中に行かなかったのは、色々事情があったから。


「行かなきゃ困るんでしょう?」
「ん、まあそういうこと。じゃあ、放課後な」


それだけ言うと友達の輪に戻っていった。







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