嘘とメールと夏休み
そこには赤い字で『93点』と書かれていた。
今日の、小テストだ。
「鮫島、何点だった」
「えっと、97ぐらい」
「うっわ負けちゃった」
そう言うと、テスト用紙をぐじゃぐじゃにバックに詰め込んだ。
「英語の単語ど忘れと、社会の漢字間違い。あと、数学の計算ミス」
詰め込みながらそう言って、私に微笑みかけた。
「俺、数学の関数とか全然無理だったんだ。けど、今回解けた」
「これ、鮫島のおかげ」
バックのわきのポケットから、飴を出して私に投げた。
「英語の文のつくりちんぷんかんぷんだけど、今回は解けた」
「これは俺の努力と、鮫島のおかげ」
もう一度、飴を私に投げる。