嘘とメールと夏休み


そんなアイドルがいる状態で、部員たちはいつも以上に部活を張りきっていた。
部活の途中でそろそろ帰るかとなり、部員たちに校庭を出るまで見送られた。


校門を抜け、ふたりで並んで歩いた。


「椎名君、先輩の顔してたね」
「まあな」
「かっこよかったよ」


この人は最近、思ったことをさらりと言う。


「鮫島はモテモテだったじゃん」
「珍しいだけだよー」
「立嶋とかもうメロメロじゃん」
「ははっ、楽しかったよ」


蝉はまだ、ジージーと鳴いている。
太陽もジリジリと照らし続ける。



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