嘘とメールと夏休み
「それじゃあ、私がドキドキしてないみたい」
「ドキドキしてんの?」
「少なくとも、椎名君の100倍はしてる」
「ぶっ、何それ」
鮫島のひんやりした右手が俺の頬に来る。
「私だって、ドキドキするよ…」
「うん」
俺の左手を、鮫島の頬に寄せる。
鮫島の頬は、やっぱりひんやりしていた。
「椎名君」
「ん」
「私に恋をしてくれてありがとう」
鮫島がにっこり笑う。
俺もそれにつられる。
そして、ゆっくりキスをした。
ジージーと蝉の鳴き声が響いていた。
fin.