嘘とメールと夏休み
「へえー、そうなんだ。で、誰?」
「…同じクラスの椎名君です」
ついに彼女の顔は真っ赤だ。こりゃ初彼だな、きっと。
「椎名って、てっきり飯田と付き合ってると思ってた」
あえての嫌味だ。
彼女の悲しそうな顔を見たかった。
「私もそう思ってました」
そう言った彼女は、とても凛としていた。
おいおい、それが彼女の反応かよ。
俺の考えとは反対の反応をする彼女に、すこし興味が湧いた。
ほんの、すこしだけ。