大海の一滴

 形勢逆転。



 クラス中が渡辺さんと愉快な仲間達をちら見してこそこそする。

「そういうことです。渡辺さん、宜しいですか?」
「……はい。ならいいです」

「それから、人の後をこっそり付けるのはあまり良い趣味とは言えませんね。将来探偵を目指しているのなら、話は別ですが」


 ハハハハハハ。ウケる~!



 渡辺さんと愉快な仲間達は、客寄せパンダの見世物ピエロになった。

「もう一つ。先生のよく行くバーは学区外です。確か渡辺さんの通う塾は学校から一駅の所ですね。そんな場所で何をしていたのかは知りませんが夜遊びはほどほどに。ではくだらないことに時間を費やしてしまったので、朝の会は簡単に済ませて授業を始めます」



 これにて、一件落着。



 ポーカーフェイスの麗ちゃん先生の大勝利。

 愉快な仲間達は、自分の机の真ん中をジットリ見つめている。
そのうちの二人は耳が赤い。


 リーダーで学級委員長の渡辺さんだけが、麗ちゃん先生を睨みつけている。



 それでもやっぱり、大人の女に子供の女は敵わないのだ。


 麗ちゃん先生は、また運命を切り開いて強くなった。








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