大海の一滴
二学期が始まった。
「絵画コンクールで、曽根さんの絵が金賞になりました」
「すげ~」
「さっすが、まあちゃん」
「それからなんと、夏川さんの絵が最優秀賞に選ばれました。夏川さんの絵は、しばらくの間県庁に展示されます。みんなで拍手をしましょう」
「すっげ~」
「やるじゃん」
パチパチパチパチ。
れいこは顔を赤らめてお辞儀をした。みんながれいこを賞賛する。
ちらりとまあちゃんを見ると拍手を送る笑顔が少し引きつっている。
きっと悔しいのだ。
私は、このクラスでリーダーのまあちゃんに勝った。
(きっと、ここが私の居場所なんだわ)
れいこはほくそえんだ。