大海の一滴
「まあちゃん、放課後何する?」
「ごめんね、今日は予定入ってるんだ」
「そっか、残念」
仕方ない、今日はおばあちゃんと過ごそう。
「ただいま」
「お帰り。今日も遊びに行くのかい?」
「ううん、まあちゃん達、予定があるんだって」
「そうかい。じゃあおばあちゃんとテレビでも見ようか」
「うん。ランドセル置いてくるね」
二階。窓の外。
(あれ?)
海の方に向かって自転車を走らせているのは、まあちゃん達。
(なんで? 予定があるんじゃなかったの?)
もしかして、予定なくなっちゃったのかな。
だったら言ってくれればいいのに。
(まあ、いいか)
今日は、久しぶりにおばあちゃん孝行してあげようっと。
キーンコーン、カーンコーン。
「まあちゃん、昼休みドッヂボールやる?」
「ごめ~ん、うちら体育館でフラフープの予約入れたんだ」
「あ、じゃあ私も」
「人数三人で予約しちゃったから、また今度ね。行こ」
クスクスクス。
(最近、こんなんばっかり)
れいこは仕方なく、一人図書室へ向かった。