大海の一滴
エピローグ

KAMISAMA


 神様は仰った。

「ファイナルアンサー?」

 神様の声は、細胞に響いてくる。


(ファイナルアンサーです)
 私は心の中で答えた。


「うむ」
 神様は頷いているようだ。


「一つ、問題がある」
(何でしょう)


「お前が持ち帰ってきた写真と手紙はどうする?」

 私は、目の裏に焼きついたそれを思い出す。

 真ん中にニカッと笑うタツユキ君を挟んで、れいちゃんと私が無邪気に笑っている、なかなか芸術的な写真である。
 そう言えば、フジさんが取ってくれたものだった。

 すっかり忘れていた。

 どこでどうなって、そうなったのか分からないけれど、写真は美和の宝箱(五百円玉も入っていた)に収められていたので、滞りなく持ち去っておいた。

 全く、妹というものは油断も隙もありゃしない。



 手紙は……ちょっと惜しい気もするけれど、証拠を隠滅しなければ、完全犯罪は成立しないのである。
(神様の御手で、処分して下さい)

 全ては私の心に焼き付いている。


「うむ」

(二つ、お尋ねしても宜しいでしょうか)

「うむ、いいだろう」
 神様は寛大である。



(結局、波紋のように広がった混乱は、解決されてないような気がするんですが……)
 最終的に私が死んでしまったのだから、元の木阿弥である。




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