大海の一滴

TEGAMI


 もう一人の私へ




 お元気ですか?

 これをあなたが読んでいるということは、もう私はこの世にはいないことでしょう。(某推理小説から抜粋)

 これは、生まれて初めて書く手紙ですので読みにくいかもしれませんが、許して下さい。
このレターセットは、なけなしのおこずかいで買ったお気に入りです。


でも本当は「アルバイト」でもして「金銭」を稼ぎ、もっと上等なキラキラが付いたものが欲しいのですが、そういうわけにもいかず、苦渋の「決断」の末、桜模様で手を打ちました。

 私が筆(ロケット鉛筆)を取った理由ですが、あなたへの感謝と、そしてお願いがあるからです。ではまずは感謝から。

あなたがここへ遊びに来てくれるようになって、私の世界はとても楽しいものになりました。初めてあなたを見た時の驚きようは、本当にすごかったです。
ついにドッペルゲンガーを見てしまったのかと、恐怖したくらいです。


 病室のジメジメしたベッドの中で私はよく妄想します。
もしかしたら、私達は生き別れた双子の姉妹なのではないかと。

双子の魂にはお互い惹きつけあう力、シンパシー(共鳴)というのがあって、遠く離れていても必ずめぐり会えるらしいのです。(某「運命」占い辞典参照)

考えていると私の妄想は果てしなく広がります。



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