大海の一滴
(やってしまった)
後悔先に立たず。
ベッドの上で左手を動かし、目覚まし時計を掴む。
時計は午後二時二十二分を指している。
ぞろ目だ。いや、そんなことはどうでもいい。
(また、やってしまった……)
もう一度溜息を付いて、ゆっくり上半身を起こしてみる。
身体中がだるくもったりしていて頭がやけに重い。
二日酔いというよりも、まだアルコールが抜けていないといった感じだ。
この分だと、朝方まで飲んでいたに違いない。
右手をモゾモゾと動かして眼鏡を探して気が付いた。
視界が大変鮮明だ。
つまりコンタクトを外さずに寝たらしい。
ということはジャージに着替えてはいるがきっと風呂にも入っていないのだろう。
(ダメだ……)
考えるとフラフラする。
とりあえず水が欲しい。
達之は鉛のような身体を無理矢理起こし、その身体を引きずってリビングへと向かった。