大海の一滴

「カウンセリングの時、冬休みの自由研究も同様に聞いていたんだけど、夏川さんが答えられなかったのは、やっぱり小学四年生だけなの」

 麗子は小学生の頃の冬休みを、遡って思い出してみた。


 小学六年生の時は木星の一日の動きを観測をした。

 穀類のデンプンを取り出したのが小学五年生で、オレンジを使った電流の実験は……小学三年生。


 豆電球とセロファンで信号機を作ったのは小学二年生。


 小学一年生は、冬に咲く葉っぱや花びらで作った色水の氷を作っている。



 小学四年生の冬は、何を作ったのだっけ??





 思い出せない。






「それからもう一つ、気になったことがあるの」





 嫌な予感がした。






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