大海の一滴
ふうむ。イケメンなのか。
「ね、大変でしょ。多分また、まあちゃん達だよ」
まあ、そうだろう。筆跡も飾りつけもこの間と同じだ。
いや、正確に言うとそっくりなのだ。
この技術と情熱を違うことに使ったら、彼女たちは歴史に残る偉業を成し遂げることが出来るかもしれない。
本当に、早朝からご苦労様である。
「おっはー」
ぼさぼさ頭を掻きむしって、アリサちゃんがやって来る。
「あらまあ、朝からご苦労なこって」
全くだ。
「アリサちゃんって本当に無神経」
アヤネちゃんが顔をしかめる。
「またかよ。っとにめんどくせーなー。女ってのはよ~」
どっから湧いてきたのか、タケシ君。
キーンコーン、カーンコーン。
朝のチャイムが鳴って、ヒールの音が聞こえてくる。麗ちゃん先生だ。
「席に着いて。朝の会を始めます」
まあまあ美しい麗ちゃん先生は、黒板をチラッと見て、当たり前のように消し始めた。
「先生~!」
優等生の渡辺さんが、優等生らしく手を挙げた。
「なんですか、渡辺さん」
黒板に向かったまま、先生は応える。
「私達、その黒板見て動揺してま~す。説明してくださ~い」