ラバ―ズΧクロス
それでも、晴美さんの自転車の籠の中には、圭ちゃんが持ってるよりも大きな買い物袋が入ってる。
「もう少し、考えて買いなよ…」
圭ちゃんが不満そうに呟く。
「文句言わないの。ほら、走るわよ~」
「え~?」
「トレーニングよ、トレーニング」
そう言うと、晴美さんはさっさと自転車を漕ぎ出してしまった。
「あ~、もう。ごめんね、葉月」
申し訳なさそうに振り返る圭ちゃんに、私は笑顔を見せた。
「ううん。気をつけてね」
お互いに手を振る。
私は2人の姿が見えなくなるまで見送り、帰路についた。
この時は、淡い2人の初恋がこのような結果になるなんて、私は思ってなかった。