ラバ―ズΧクロス
悔しいやら嬉しいやらビックリやら…。
複雑な感情が渦巻いたまま眠りから覚めると、携帯の液晶画面は6時を示していた。
「あ~…。もう、朝か…」
体を起こし、思いっきり伸びをする。
見計らったように、一階からお母さんの声が響いた。
「圭~、起きてる~?」
「ばっちり~!!」
着替えをしながらこたえ、鞄の準備をする。
ダイニングに行くと、味噌汁の優しい香りが鼻をくすぐる。
「やっぱり朝は和食だよね~」
あたしは早速席に着き、手を合わせる。
「最初はどうなるかと思ってたけど、どうにかなるものね~」
お母さんが呟いてるのは、朝練のことだ。
早起きが苦手だったあたしは、1年の時はお母さんに叩き起こされて行ったものだった。
いまじゃ、目覚ましの前に自然に目が覚めるようになっている。
「慣れってすごいよね。…ごちそうさま」
言い終わるや否や、あたしは鞄をからい玄関に出る。
「ああっ、圭ちょっと…」
「何?」
振り返ると、お母さんが櫛を持って立っていた。