ラバ―ズΧクロス
手で口を押さえながら、圭ちゃんが言った。
圭ちゃんと橘君は同じ3組だ。
因みに私は2組で…………。
「あ、河野いたっ!!」
矢野君と同じクラスだったりする。
少し息を切らせながら圭ちゃんに近づいてくる。
「隣行ったらいないし…。探したんだぞ?」
圭ちゃんはキョトンとした顔で、矢野君を眺めている。
「何かあったっけ?」
矢野君が少し不機嫌そうになる。
「昼休みにジュ―ス奢れって言ったの誰だよ!!」
「あ、あ~…。そうだったね~」
圭ちゃんが誤魔化そうと視線を逸らす。
「絶対忘れてたな…。ん?」
ふと、矢野君が圭ちゃんの頭を見て首を傾げた。
圭ちゃんと私は、どうしたのか分からず顔を見合わせる。
「ああ、ヘアピンしてんのか。なんか朝と雰囲気変わったな~と思ったら…」
圭ちゃんが自慢気にヘアピンに触れる。
「いいだろ~。葉月にやってもらったんだ」
「うん。似合ってる。普段からすればいいのに」
素直な返事に圭ちゃんが固まる。
私も思わず顔が火照ってしまった。