ラバ―ズΧクロス
「どうかした?二人とも」
矢野君は不思議そうに首を傾げる。
「矢野君って絶対…」
「天然たらしだよな…」
二人でボソッと呟く。
「え?何?」
想像以上に鈍い矢野君に圭ちゃんが言葉を放った。
「ミルクココア」
「あ、はい」
矢野君は素直に頷き、私を見る。
「沢村さんは?」
「え?私は良いよ!!」
予想外の質問にアワアワしながら答えた。
「遠慮すんなって。何でも好きなの頼みなよ」
「それ俺の台詞だけどな。…沢村さん、本当に遠慮しなくても良いよ?」
「で、でもっ…」
渋っている私に圭ちゃんが提案を投げかけた。
「じゃあ、矢野のジュ―スお遣いの手伝いをして、そのご褒美として奢って貰えば?」
「え?」
圭ちゃんの発言に戸惑っていると、矢野君が私に笑いかけた。
「お遣いって言い方は嫌だけど…。それなら良いよね?」
「うっ…」
結局、二人の笑顔に負けて矢野君とジュ―スの買い出しに行くことになった。
教室を出る時に圭ちゃんが私だけに分かるように、ファイトのポ―ズをして、私の顔を赤くさせた。