ラバ―ズΧクロス

「前にたしか、屋上って言ったよ」


「橘君と一緒に?」

すかさず爆弾を投下すると、圭ちゃんは激しく咳き込んだ。


「ゲホッゲホッ…。それは知らないよ…」


「ふぅん?」


ニコニコと笑いながら卵焼きをつまむ私を、圭ちゃんがチラッと見た。


「言っとくけど、あたし橘が好きとかじゃないからね…」

「そうなの?」


「うん。ただ…」


恥ずかしそうに俯いた。

「ただ、あんな人だったらあたしのコンプレックスなんて消してくれるんだろうなぁ~ってだけ…」

少ししんみりとした空気になった。


だから私は業とからかう。


「でも、図書室には来るでしょ?」

「だからっ…!!」

「来ないの?」


目を真っ直ぐ見つめて訊いた。

「…来るけど」



小さな声でボソッと呟いた圭ちゃんに、明るく声をかける。



「あ、予鈴鳴っちゃう。さっさと食べちゃお」

「ヤバッ、本当だ」



そそくさとお弁当を片付け、それぞれ午後の授業の準備へ向かった。











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